彼はこのワンプレイのために頑張ってきたんじゃないかと思わせてくれる瞬間がある。
- 2020.04.04
- サッカーのこと
世の中、感染予防対策一色。
試合もありません。
人と会うこともめっきり減りました。
もちろん、ブログを書く目新しい出来事もありません。
なので、また昔話を。
四月というのは、わたしにとって複雑な月です。
まずは、これから入部してくる部員たちの活躍に思いを馳せます。
高校入試のある頃は、その楽しみは今以上でした。
中学三年間、ベンツマーク中イレブンたちと違った環境でプレイをしてきた高入生部員。
時に新しい風を吹き込んでくれました。
一方、前年度の部員たちは、既卒となります。
そして現役の中にも、この月から行われるインターハイ予選を最後に引退をする部員が毎年少なからずいます。
しみじみしてしまうのです。
先日、前年度の部員の保護者の方とお話する機会がありました。
その際に、敗れたインターハイ予選の話をしました。
彼らの健闘を目にして、わたしは思わずむせんでしまったと。
もう一年も前の話ですが、しみじみです。
卒業して行った彼ら、新たなステップを踏み出した彼らのことを思い出してしまったりします。
ある高入生部員がいました。
普通に上手い。
ただ、Aチームには帯同しているが、先発の座を確保はできていない微妙な立ち位置の選手でした。
高三の春。
インターハイ予選。
二回戦で当たったのが、その年・前年ととても良いチーム作りが出来ていた都立校。
何度か練習試合もしていたので、わたしは苦戦を覚悟していました。
その試合に、彼は中盤の選手として先発。
やはり両校決めてのないまま、試合終盤にさしかかろうとしていました。
そしてそのワンプレイ。
彼は大きく身体を開いた状態でパスを受けました。
身体も視線も前方右を向いた状態で。
その状態で身体をひねり、迷わず左前方にボールを出したのです。
オフサイドぎりぎりの位置でボールを待ち構えていたのが、そのチームの絶対的エース。
彼独特の間とドリブルでペナルティエリアに切れ込んで行きます。
ゴール右隅、GKが手を伸ばしても届かないところに決勝ゴール。
ベンツマーク校応援団は歓喜に湧きました。
勿論、エースのシュートには目を見張りました。
しかし、それ以上に驚かされたのは、その中盤選手のパス。
一度ボールを収めた上で視野を確保できている右前方に、彼はパスを出すだろうと思いました。
味方選手を走らせるために。
それが、迷わず身体をひねって・・・。
わたしはその時に思いました。
彼はこのワンプレイのために頑張ってきたんじゃないかと。
極端言い方を許していただけるならば、彼の3年間はこの1球のパスに尽きる。
昨夏の彼もそうだったかもしれません。
14番。
最後の公式戦。
途中出場。
キャプテンマークを引き継ぎ、35分間チームを引っ張ってくれました。
思えば、6年間マネージャーとしてチームを支えてくれた彼もいました。
最後の夏。
グラウンドにはみんなを見守る彼の姿がありました。
常に日なたにいる選手がいます。
その数倍、彼らのようには目立たないけれど彼らと同等、それ以上に頑張りを続けている選手がいます。
卒業していった彼ら、新たなステップを踏み始めた彼ら、多くの部員を見てきました。
がんばれ、ベンツマークイレブン。
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